交通事故があったときは、負傷者がいる場合のその救護はもちろんですが、必ず警察への報告をしなければなりません(道路交通法72条)。
警察への報告を怠ると、罰則(3月以下の懲役または5万円以下の罰金)の適用があり得るだけではなく、損害賠償の局面においても「交通事故証明書」が入手できないことによって保険会社からその事故の存在そのものを否定され、これを立証するのに大変な苦労をするようなことがありえます。
たとえ事故現場で事故の相手方が「自分の保険で全部払う」などと約束したとしても、相手方の保険会社がそれに従うわけではないのです。
また、たとえば深夜の交通事故を警察に報告しなかったような場合においては、保険会社は、「飲酒運転が発覚しないように届出をしなかった可能性がある」というように考えます。このため、保険会社からあなたの事故前の行動を入念に調査され、ときには「事故前に会っていた人に会わせてほしい」などと裏付けまで求められるようなことがあり得ます。
つまり、「警察が来るのを待つのが面倒だ」というような発想や、「事故現場で相手方が全部面倒をみると言った」というようなことで警察に報告しなかったことで、後日、本当に「面倒」なことになってしまうことが多いのです。
そうですから、交通事故に巻き込まれたら、その場で警察に連絡をしてください。
また、身体については、可能な限り事故当日に医師の診察を受けておくことをお勧めします。
事故で身体に大きな衝撃を受けても、事故の直後は緊張や興奮で痛み等の違和感を感じないことがあります。帰宅後に痛みがでても、「明日の仕事が忙しい」とか「すぐ治るかもしれない」と我慢したあげく、1週間・2週間と経ってからはじめて医師の診察を受け、そこから治療を始めるようなケースがあります。大切なご自身のお身体ですから早いに越したことないとわかっていても、このようなケースが多いのです。
事故から初診日までの日数が長くなると、保険会社から、「交通事故とは関係のない治療だから、治療費をはじめ損害の一切は支払えない」との主張をされることがあります。このような場合、交通事故と治療との因果関係を明らかにするのに、のちに大変な苦労をすることになります。
そうですから、交通事故に遭ったときは、なるべく早めに医師の診察を受けておきましょう。
交通事故は、ほとんどの方にとっては、通常初めての体験ですから、交通事故被害に遭われた方は、まず、「何をどうしてよいのか分からない」という状態になることが多いようです。
まず申し上げられるのは、しっかりと治療をしてください、ということです。
つまり、医師に対してご自身のお身体の異常をしっかりと伝え、医師の意見や指示を聞き、しっかりと入院・通院治療をすることが大切です。
多忙の中、治療を続けることは、現実には容易ではありません。
しかし、必要な通院を控えて治療をしないことは、何よりもまず完治の妨げになります。
また、損害賠償の局面においては、傷害慰謝料額の算定や後遺障害認定に悪影響を及ぼします。
人身交通事故の被害者は、多忙の中での治療を続けながら、現在の症状、将来にも残ってしまうかもしれない症状、警察の事故処理、治療費の支払い、警察の事故処理、過失割合、保険会社との示談や損害賠償請求のこと等、仕組みがよく分からないまま、次々と難しい問題についての対応を迫られることになります。
弁護士はもちろん交通事故に関する民事事件・刑事事件の専門家ですから、被害に遭われた方のお悩みに、法的に適切なご助言を差し上げることができます。
交通事故後の早い段階で弁護士に相談していただけると、将来の損害賠償請求に備えて治療中にしておくべきこと、逆にしないでおくべきことなどをご助言差し上げることができるほか、その後に生じうると予測される問題等についてのご助言を差し上げることもできます。
当事務所では、交通事故でお怪我を負われた方の損害賠償に対する漠然としたご不安を整理させていただき、なるべく安心して治療に取り組んでいただけますように、努めております。
交通事故によるお怪我の治療が終わったものの完治(治癒)せず、身体に何らかの症状が残ってしまった場合(いわゆる「症状固定」=それ以上治療を継続しても症状の緩和が見込めない状態になること)、それは、残存症状の程度に応じた大きさで、その後の人生に影響を及ぼします。
その残存症状がご自身の労働能力や日常生活を営む能力に影響を与える場合は、当然のこととして、怪我と治療についてだけではなく、この点についても適正な損害賠償金を受け取っておく必要があります。
後遺障害には最も重い1級から14級までの等級が設定されていて、その等級ごとに支払保険金額が決まっていますから、適切な後遺障害の等級認定を受けなければ、この点について適正な賠償金を受け取ることもできなくなってしまいます。
そうですから、この局面で大切なのが、適切な後遺障害の等級認定を受けることです。
適切な後遺障害の等級認定を受けるためには、一般論としても、個別の残存症状に応じても、重要なポイントがたくさんあります。
後遺障害の等級認定は、申請によって、医師が作成する「後遺障害診断書」等の資料を基礎に、損害保険料率算出機構(自賠責保険の審査会)が行います。もちろんその認定の結果は適切だと感じることが多くはあるのですが、実際には、本来ならば後遺障害に該当すべきものが非該当と判断されたり、本来ならばより上位の等級に該当すべきものがより下位の等級と判断されるようなことがあります。その結果、損害賠償金額が決して適正とは言えなくなる現実があります。
当事務所においては、適正な認定となるよう、ご助言だけではなくサポートをさせていただきます。
人身交通事故の被害者の多くは、保険会社との示談交渉に悩んでおられます。
保険会社は、多数の交通事故案件を取り扱っている保険のプロであり、知識・情報・経験があります。他方、被害者の方は、交通事故にはじめて遭った方が大多数で、どのように保険会社と交渉してよいのか分からないのが一般的です。
交通事故の保険処理に精通している保険会社担当者から、「これが私どもの会社の基準です」、と提示された示談金額についてしっかり反論するのは難しく、「保険のプロが言っているのだから、おそらく妥当な金額なのだろう」と考え、そのまま示談に応じる方もおられます。 しかし、保険会社は、自社が支払う保険金を出来るだけ低額にするために、弁護士が介入した場合や、裁判をした場合の金額と比べて、著しく低い金額の提示をしていることがあります(詳しくは、「賠償金計算における3つの基準」をご覧下さい)。
弁護士が、被害者の方と保険会社の間に入って示談交渉を行うことにより、被害者の方が、当初提示された金額よりも高い、適正な賠償金を受け取ることができることは、少なくありません。
「弁護士に依頼すると費用が高くつくのではないか」、とご心配される方も多いと思います。
このご心配を解消するため、当事務所は、交通事故については初回相談料(30分まで)・着手金は0円に設定しております。
また、報酬金については、賠償金が支払われた後にお支払いいただく、完全成功報酬制を取っております(詳しくは、「弁護士費用」をご覧下さい)。
なお、加入しておられる任意保険に弁護士費用特約がついている場合は、そちらを利用していただいております(詳しくは、「弁護士費用特約について」をご覧下さい)。
最後になりましたが、交通事故被害に遭われた方に、心からお見舞い申し上げます。
当事務所が、被害者の方々のお力になれれば、幸いでございます。